STORY
原画のもつ物語性や、いきいきとした躍動感を生かす、唯一無二の色を探して
鈴木マサルさんの原画の特長でもある、記憶に残る鮮やかな色づかい。それを再現するために、既存の染糸を使わずオリジナルで染めることから始めました。日々の生活で、ストレスなく愛用できる品質を追求して、数々の素材の中から最終的に鈴木さんと選びました。いくつもの染糸サンプルを使って、微妙な配色のニュアンスを確かめては、また違う色味で染め直す。そんな試行錯誤を繰り返した末に生まれた唯一無二の色たち。鈴木さんのこだわりと染織工房の技術がひとつになって、味わいのある色になりました。
伝統製法「フックドラグ」で、手間ひまかけて伸びやかな手書きタッチを表現
原画のもつ、かすれや抑揚のある伸びやかな手書きタッチを、ラグにどう落とし込むか。スタッフが頭を悩ませたポイントです。原画の世界観を損なうことのないよう、最小限の微調整を加えて織りの工程へ。刺繍のように基布に糸を刺していく伝統製法「フックドラグ」は、厚みや立体感に富んでいるため、細かい部分を再現するためには、糸の太さや本数、打ち込み密度を変える必要があります。さらに、1回の織りで表現できない部分は、上からパイルを重ねて細かな線を描き足すことも。通常に比べて約1.5倍から2倍近い時間をかけた仕事。それはすべて、アーティストから託された思いをかたちにしたいという、妥協のないこだわりが生んだものでした。
ラグならではの厚みと立体感で、原画に息を吹き込んだような仕上がりに
染も織りも、初めてのチャレンジの連続。そんな製作工程を経て生まれた完成品は、平面で表現された原画とはまた違う、いきいきとしてぬくもりが宿っています。フックドラグならではのふっくら立体感のある厚み。心がうきうきと楽しくなるカラー。思わず身を預けたくなるような、柔らかい肌触り。それらが一体となって、描かれたアニマルモチーフが、存在感ゆたかにこちらに語り掛けてくるよう。まるでお気に入りのアートピースのように、「所有する喜び」与えてくれるラグになりました。